大川法律事務所
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マイナンバー制度の問題点 ~「いらんわマイナンバー違憲訴訟」へ向けて~
第1 制度の概要
 
1,マイナンバー制度とは
   国民一人ひとりに(法人も)番号を割りふる制度
(1) 番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)2013年5月の国会で自・公・民・み・維などの賛成多数で成立。
(2) 民主党の目的と同じなのか。
(3) 10月5日時点での住民登録(住民票)に基づき個人番号を、商業登記・法人登記などに基づき法人番号を、それぞれ付番
  ①個人番号 12桁の番号
 対象は、住民登録(住民票)のある全ての国民・特別永住者、中・長期在留外国人
 10月以降に、番号の記載された通知カードを市町村から簡易書留で交付
 実際に送るのは市町村から委託を受けた「地方公共団体情報システム機構」(J-LIS)

②法人番号 13桁の番号
 対象は、国の行政機関、地方自治体、設立登記のある法人、税務署に開業届を行った法人等
 基本的に秘密ではなく、登記のある法人についてはインターネットで公表を予定
 10月以降に、国税庁長官から書面により通知
2,番号の利用はいつからか。
   2016年1月から制度適用がはじまる。
(1) 2016年1月から番号の利用を開始
国の行政機関、市町村、日本年金機構、健康保険組合等の持っている個人情報にマイナンバーを紐付けし、情報連携(リンク)することで、名寄せ(データマッチング)を行う。
(2) 始まりはゆっくり、全てが一度にスタートするわけではない(「小さく生んで大きく育てる」)。当初、税・社会保障・災害の他、金融・医療へ拡大。
例えば、市町村、健康保険組合等との情報連携は2017年7月~
3,なぜこんな制度を作ったのか
   政府説明は、社会保障サービスの充実のため。
   その為に、マイナンバーで個人情報を紐付ける
(1) 政府は「役所にある住民情報をより正確かつ効率的に活用できるようになる」とし①公平・公正社会の実現②国民の利便性向上③行政の効率化」と説明
利用分野は、当面、税、社会保障、災害対策の3分野に限定。(→前述・拡大)。
(2) しかしすでに住基ネットがある。→後述。
4,どんな手続でマイナンバーを使うのか
   税・社会保障に関連する提出書類にマイナンバーを記載。
   企業は従業員からマイナンバーを取得。
   取得時には本人確認も必要。
(1) 国民には、個人番号を告げる義務、個人番号が正しいと証明する義務。
(2) 事業者には、従業員等の個人番号を聞く義務、個人番号が正しいと確認する義務。
税源泉徴収票、年末調整、確定申告税務署等に提出する書類への記載
社会保障 年金、医療、介護、生活保護、児童手当などの手続の際に、番号を告知
(3) 2016年1月までに企業はマイナンバーを取得しなければならない。
5,それ以外に使うことはないのか
   法で定められた範囲以外での利用は禁止
   法で求められる以外は「他人に教えない」のが基本
   番号は生涯不変、変更は市町村長が認めた場合のみ
6,事業者にはどんな体制が求められるのか。
   マイナンバーの漏洩や減失を防ぐ体制が求められる
(1) 事業者に、特定個人情報(マイナンバーを含んだ個人情報)の漏洩、減失、毀損を防止する「安全管理措置」義務。
(2) 特定個人情報保護委員会がガイドライン公表。
(3) 今、企業が大変な準備を強いられている。
但し、100人以下の中小企業には安全管理措置は緩和。
7,外部に流失した場合に罰則はあるのか
   故意の場合は刑事罰。
   過失の場合は罰則なないが企業イメージは悪化する
  罰則は次の通り
 
主体 行為 法定刑
個人番号利用事務、個人番号関係事務などに従事する者や従事していた者 正当な理由なく、業務で取り扱う個人の秘密が記録された特定個人情報ファイルを提供 4年以下の懲役または200万円以下の罰金(併科されることもある)
業務に関して知り得たマイナンバーを自己や第三者の不正な利益を図る目的で提供し、または盗用 3年以下の懲役または150万円以下の罰金(併科されることもある)
主体の限定なし 人を欺き、暴行を加え、または脅迫することや財物の窃取、施設への侵入、不正アクセス行為などによりマイナンバーを取得 3年以下の懲役または150万円以下の罰金
人を欺き、暴行を加え、または脅迫することや財物の窃取、施設への侵入、不正アクセス行為などによりマイナンバーを取得 6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金
8,個人番号カードとは
   写真付きのカードで申請すればもらえる。
(1) 個人番号カード 写真付きICカード
 表:氏名(通称があれば並記)、住所、生年月日、性別、顔写真
 裏:個人番号
 これらの情報はICチップにも記載される。
来年1月から市町村が希望者に交付
 交付申請書(+写真)を返送し、市役所で受け取る。通知カードと交換
 交付申請書は通知カードとともに送られている
 発行は市町村から委託を受けた「地方公共団体情報システム機構」(J-LIS)が行う
個人番号カードは「個人番号が正しい、間違っていない」と確認するのに最適
市町村による個人番号カードの独自利用や民間利用も可能
 市町村:コンビニでの証明書発行、地域通貨、図書館カードなど
 民間 :本人確認(身分証明)
(2) 通知カードだけでも不自由はない
 個人番号カードの危険性
 ①情報集約の個人番号が書かれたカードの日常的に利用
 ②顔写真と顔認証技術
第2 問題点
 
1,公平な課税、適確な社会保障になっているか。
   莫大な費用をかける割りには的はずれ
(1) ①狙われているのは高所得者ではなく低所得者
  扶養家族の所得、給与所得者の副業、子どものアルバイト
  資産(預貯金、不動産)の把握
  ただし、海外資金、海外取引の把握は困難
      国税庁自身が番号制度の限界として認める。
 その一方、金持ちへの優遇策も
      金融商品(株、信託)への投資に損益通算の拡大
 大企業優遇、金持ち優遇の不公平税制の是正こそ必要

②実際は、個人番号カードがなくても不自由はない。

③民主党時代は「社会保障・税番号法」だったのが、安倍政権下でIT総合戦略本部へ。

④誰れが得をし、誰れが損しているのか。~新たな事業の生み出しと情報を持つ側

2,住基ネット訴訟との関係
(1) 住基ネット違憲訴訟に関する最高裁判決(2008年3月)
(2) 社会保障・税番号大綱(2011年6月30日)
 何人も個人に関する情報をみだりに第三者に開示または公表されない自由を有すること②個人情報を一元的に管理することができる機関または主体が存在しないこと③システム上、情報が容易に漏洩する具体的な危険がないこと等の要件を備える必要がある
 番号制度においては、取り扱う個人情報が、住基ネットの本人確認情報(氏名、住所、生年月日、性別、住民票コード等)よりも秘匿性の高い社会保障・税に関わる情報を中心としており、かつ、住基ネットが行ないこととしているデータマッチングを行うこととするものであることから、一層高度の安全性を確保することが求められる(同大綱)
(3) 政府は、マイナンバー法は、前記最高裁判決にふれないとしているが。
3,国民の不安は大きいが
   不安の通り権利侵害の危険は大きい
(1) プライバシー権
①情報の集約でその人の人となりがわかる。
②情報漏洩の危険が大きい。
③もれるとプライバシー権の侵害、なりすまし、不正利用。
(2) 自己情報コントロール権
憲法13条に裏打ちされた権利
(3) 公権力から監視されない権利
大阪地裁西成監視カメラ撤去訴訟では、プライバシー権の一態様として認める。
(4) 「あぶり出し社会」へ
 会社へ、国へ個人情報がさらけ出される。「夜のアルバイトがばれる」だけではない。
 
4,安部政権下のマイナンバーの持つ意味
   全ての道は戦争の出来る国作りへ 
  いわゆる戦争法(安保法)
特定秘密保護法(報道の自由度世界61位へ大きく後退)
労働法制の改悪(経済的徴兵制へ)
選挙権18歳へ(軍人年令と対応)
そして管理監視国家(情報統制と市民監視)
マイナンバーは徴用に便利
第3 今後の対応
 
まずは個人番号カードを申請しない
1,民主主義とは何か
   みんなが、おかしい、面倒くさい、なんでこんな制度を入れたのか、と思っている。
   これをやめられなければ民主主義ではない。
2,ではどうするか。
   みんなが、おかしい、面倒くさい、なんでこんな制度を入れたのか、と思っている。
   これをやめられなければ民主主義ではない。
(1) 個人番号カードは申し込まない。個人番号カードの取得は強制ではない。
(2) マイナンバーを利用しない。
個人番号を記載しなくても不利益はない(内閣府・国税庁・厚労省説明)。
(3) そして、違憲訴訟へ
~すでに全国訴訟が提訴
(4) 「情報」を市民に取り戻す闘いへ。
  以上  
  (2015.12.16 弁護士 大川一夫)
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